プロジェクトの概要
沖縄県では、定期的にサメが駆除されているのをご存知でしょうか?
各市町村の漁協や役場の水産課が中心となって、漁業や観光産業の観点からサメによる被害を防ぐために実施しており、年間で1000頭以上が駆除されています。
一方で、駆除されたサメは フカヒレや一部の肉などは食用として利用されていますが、それ以外の部分は全て利用価値が無いとされ廃棄の対象となっています。
水揚げされたサメはすぐにバラバラに解体されて、そのまま焼却炉にて処分されます。
肉片になってもポリ袋のなかで動いている物もありました。
このような現状を目の当たりにして、私は驚くと同時に心を痛めました。
害獣と言えど人間の都合で奪った尊い命です。
責任を持って活用する方法を考えるのも人間の役割ではないでしょうか?
駆除されたサメに対して敬意を払うと同時に、どうにか付加価値を付けて有効活用が出来ないか?という想いは日増しに強くなっていきました。
その過程で国内外にて様々な情報を調べ歩いていると、サメの皮を活用できる可能性があることを発見しました。
このプロジェクトではRYUKYU SHARKというブランドを設立し、このように駆除されたサメの皮を利用した革製品を生産して、将来的には沖縄県の新しい産業への発展を目指します。
そのサメ革を活かした作品の製造過程と、これからの展望を語る時間を頂戴出来ればと思います。
どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。
沖縄県におけるサメ被害の現状
漁業への影響
沖縄近海魚の代表格アカマチやスジアラなどを始めとする漁獲物を水揚げする際に、サメが漁具ごと食いちぎっていく事例が頻繁に発生していることはご存知でしょうか?
サメが回遊する沖縄の海において、このような事態は実は日常茶飯事なのです。
目前の獲物がサメに食われ、漁具まで破壊されてしまうことは甚大な経済損失になります。
更に網にかかったサメは、船に激突することもあるため、漁師の身にも危険がつきまといます。
サメは正に漁師の天敵です。
しかし、時間やコストの問題で、被害から逃れるために漁場を移すことが困難なのが実情です。
サメは定住性があり、駆除を実施しても近海から別のサメが住み着くため、その効果は2~3か月ほどと言われています。
このような背景から漁業収益を維持していくためには、サメの駆除を定期的に実施せざるを得ない状況にあるのです。
ただし、サメの駆除は漁業組合が独自で実施するケースは稀です。
仮に積極的に駆除した場合でも、捕獲されたサメには価値が無い(お金に変えることができない)からです。
それならば、多少の被害に遭うことを前提として漁に出て稼ぐという選択肢を漁業者がとらざるを得ないことは言うまでもありません。
この問題を解決するために各市町村が予算化した公的補助金に頼りながら駆除を実施しているのが現状です。
観光産業への影響
沖縄県は言わずと知れた観光立県で、観光産業は大きな収入源となっています。
インバウンド需要も重なり、現在の観光客数は年間1000万人を突破して順調に推移しています。
沖縄の入域観光客数と観光収入の推移(出典:沖縄県)
一方で、沖縄に観光で来た遊泳者に対するサメによる人的被害が発生していることをご存知でしょうか?
発生件数はそこまで多くはないものの、観光産業にとっては見逃すことの出来ない課題です。
せっかく沖縄に観光に来られたのであれば、この様な不安を感じさせずに楽しい思い出を持ち帰って欲しいと考えています。
サメ革の可能性
サメ革と言っても一般的には広く知られていないので、初めて耳にした方も多いのではないでしょうか?
サメ革はエキゾチックレザーと呼ばれて、クロコダイル(ワニ革)・パイソン(ヘビ革)・エレファント(ゾウ革)など 希少性が高く独自の模様を持つ革の総称で、レアレザーとも呼ばれています。
また、世界的に捕獲量が少なく養殖も出来ないことから 非常に希少価値の高い革として流通しており、海外一流ブランドの腕時計の革バンド、ベルト、財布、バッグでも利用されています。
特にメキシコ産のカリブシャークは沖縄で駆除されているイタチザメと同種で、こちらもエキゾチックレザーとして世界的にも重宝されています。
国内では、宮城県気仙沼で水揚げされたヨシキリザメの革製品が有名で、その収益の一部は東日本大震災の復旧支援にも貢献しています。
一方で、沖縄で駆除されるサメは、フカヒレなど特定の部位以外は利用価値が無いと判断されて大部分は廃棄処分されていますが、実はその中にサメ革として加工することで流通できるものがたくさんあることが分かりました。
県内で駆除されるサメは、イタチザメ・メジロザメ・シュモクザメ・ホホジロザメ・ネコザメ・レモンザメなど多岐にわたります。
これらは世界的に見ても希少価値が高いにも関わらず、国内での生産事例や国産として流通している商品はほとんどありません。
また、沖縄県内で水揚げされるサメは気仙沼のヨシキリザメよりも大型な個体が多く、革として利用できる面積が比較にならないほど大きいので、バックなどの大型製品も一枚革で製作ができるというアドバンテージを持ちます。
そこで、駆除されたサメを沖縄県産のサメ革として付加価値を付けることで 新たな産業として成り立つ可能性を秘めていると考えたのです。
サメ革の特徴
サメ革は哺乳動物とは異なり魚類特有の毛穴が無いという特徴をもつため、牛革などに比べて非常に耐水性に優れています。
表面には細い網目状の凹凸があり、陸上生物の革と比較しても筋線維が密集し、しなやかで丈夫な独特の質感を持っています。
使い始めは、光沢が無くマットな雰囲気ですが、使い込むうちに徐々にツヤが生まれる経年変化を楽しめる素材です。
傷にも強く特別なお手入れは不要なので、どなたでも安心して永く愛用できる素材となっています。
また、革製品は殺生を想起させるとして仏事には敬遠されがちですが、サメ革については四つ足動物ではなく、また海水の塩で清められているとの理由で冠婚葬祭や品格を重んじる式典などでも使用可能という特徴もあります。
さらに サメは繁殖期にお互いを傷つける習性があり、皮には怪我による傷が付いているものが多いです。
そのため、革として利用可能な綺麗な部位の確保が難しく、製品化できる状態で捕獲されるサメの個体はごく僅かとなります。
また、後述する鞣しについても、国内でサメを扱った経験をもつ職人がほとんどいない状況です。
この理由により、鮫革は一般にはほとんど流通せずに希少価値が高くなっている現状です。
皮から革へ鞣す
サメ皮がサメ革へと生まれ変わるまでには、いくつもの鞣しと呼ばれる工程を経る必要があります。
この工程ひとつひとつにおいても熟練した職人の技が必要です。
また、牛など哺乳類の革よりも繊細なので加工に手間がかかり、サメ自体を扱う事例も少ないことから、国内で鞣すことができる職人は限られています。
RYUKYU SHARK では、海外でサメ革の鞣しを経験した熟練の職人が営む本土の鞣し業者に作業を委託しているので、仕上がった革は世界基準の品質と自負しております。
これを手にとった方は、想像以上のしなやかさと強度を実感して、これがサメの革なの!?と驚きを隠せないほど素晴らしい出来になっています。
【工程1】塩蔵処理
駆除されたサメから採れた皮は、まず塩蔵処理によって2週間ほど天日干しにより水分を抜きます。
水分が抜けることで重量が約1/5ほどに減少します。
塩蔵処理後の皮は、粗目の紙やすりのような質感でゴリゴリしています。
左:塩蔵処理前 右:塩蔵処理後
【工程2】鞣し
次になめしの工程に進んでいきます。2週間ほど薬剤に漬けて皮を柔らかくし裏打機(フレッシングマシン)を用いて、皮の肉面(裏面)に付着している肉片や脂肪を取り除きます。
紙やすりのようだった皮が、この工程により次第に柔らかさを持ち始めます。
しかし、見た目はまだサメ皮のままです。
柔剤に漬けた皮
【工程3】[完成] 水絞り~再鞣し
最後に、特別な薬品処理を施し革中の余分な水分を水絞り機械により絞り出して品質検査の後に再鞣しを行い、約2か月ほどの全工程を経てようやく皮が革へと生まれ変わります。
この工程により、しなやかで柔軟性を兼ね揃えた貴重なサメ革が出来上がるのです。
仕上り直後のイタチザメの革
製品の生産
駆除されたサメの革は、沖縄県北谷町のレザーショップ Leather & Wood U.A.STORE にて丹精を込めて一つ一つ手作業で生産しています。
Leather & Wood U.A.STOREの友利代表は、沖縄県内で古くから革職人として数多くの商品を製造している熟練者なので、縫製技術や製造品質はトップレベルです。
国内では流通量の少ないサメ革ですが、ここではその扱いにも長けているため、出来上がった商品の品質には文句のつけようがありません。
RYUKYU SHARKの制作風景
ウォレットのジッパーは高性能で耐久性と信頼のある国産ブランドYKK製を採用しており、断面のコバ部も抜かりなく丁寧に磨き上げています。
バングル以外の全製品には、RYUKYU SHARKのオリジナルロゴを刻印しています。
製作した全ての商品は、サメ革の質感を大切にしつつ 実用性の高いものをコンセプトにしています。
また、海という大自然から獲れたサメは個体ごとに皮の質感が異なるため、同じ商品でもそれぞれの素材がもつ表情があり それはあなただけの唯一無二の作品となります。
完成した製品を手にとって、その品質とサメ革が持つ一級品の質感を体感してください。
Leather & Wood U.A.STORE 友利裕騎 代表
リターン作品の紹介
こちらでは、クラウドファンディングに賛同して頂いた方へリターンする商品を紹介していきます。
設定価格はYUIMAクラウドファンディング期間限定の特別価格となっております。
リターンは2020年6月頃を予定しておりますが、商品によっては、サメ革の調達が不安定になる場合もございます。
その際にはお届け出来る納期が遅れる場合もあることを予めご了承ください。
ミニキーホルダー(2020/3/17追加)
駆除されたサメ革を使ったRYUKYU SHARKロゴのミニキーホルダー
サイズ:横40mm 縦60mm
キーホルダー
目を惹くRYUKYU SHARKのロゴがおしゃれ感を演出
サイズ:横30mm 縦80mm(ボタンを閉じた状態)
バングル
ユニセックスで着用が出来るように細身のデザインで製作
サイズ:幅13mm 内径横70mm,縦50mm
名刺入れ カウMIX
スタイリッシュなデザインと機能は現代人を支える
サイズ:横110mm 縦75mm(閉じた状態)
インナーポケット2箇所
名刺入れ オールシャーク
全面を覆うシャークスキンでワイルドさが溢れ出る
※サイズと内部の作りはカウMIXと同様です
コインケース カウMIX
片手に納まるコンパクトさなのに実用性と利便性を兼ね揃えた優れもの
サイズ:横110mm 縦75mm
インナーポケット4箇所、アウトポケット1箇所
コインケース オールシャーク
全面を覆うシャークスキンでワイルドさが溢れ出る
※サイズと内部の作りはカウMIXと同様です
ロングウォレット
ブラックで統一した洗練されたデザインは静かに圧倒的な存在感を放つ
サイズ:横195mm 縦90mm(閉じた状態)
インナーポケット12箇所(ジッパー部含む)
RYUKYU SHARKの想い
ここまでご覧いただき誠にありがとうございます。
沖縄県内でのサメ被害とその可能性についてご紹介させていただきました。
県内の各漁協に掛け合ってRYUKYU SHARKの目的を説明のうえ、少しずつではありますが駆除されたサメを活用させていただけるようになりました。
関係者の方々には、温かいご協力に心から感謝申し上げます。
RYUKYU SHARKの活動は徐々に認知度があがり、これが評価されて2019年12月28日の琉球新報社の経済面でも取り上げていただきました。
駆除された命あるサメを、駆除した人間は敬意をもって有効に活用する責任があります。
これを継続することは、漁業・観光などの面で良い影響を与えることが出来ると確信しております。
駆除されたサメを沖縄県産のサメ革製品として生まれ変わらせ、国内外に広く伝えていく事により近い将来に新たな産業へと成長させたいという強い想いをもって取り組んでおります。
RYUKYU SHARKが目指す産業が成長することは、漁業者からは無価値と捉えられているサメに付加価値を生み出すことに繋がり、漁業の面においても間違いなく良い影響を与えるでしょう。
そして、生み出された商品を利用する方にとって満足のいく高品質な製品を提供して、永く愛用して頂くことがRYUKYU SHARKに課せられた命題であると考えています。
その実現にむけた第一歩がこのプロジェクトになります。
このクラウドファンディングで調達した資金は、サメ駆除の援助・沖縄県の海洋保全・新商品開発&生産・商流開拓に使わせていただきます。
どうぞ、皆様の温かいご支援をお願いいたします。
RYUKYU SHARK 代表 稲葉悠(左) 与義守清(右)
RYUKYU SHARK インスタグラムも始めました。@ryukyu_shark_ で検索してください。
製作過程や新商品の情報などをリアルタイムにお届けします。
プロジェクトオーナー
RYUKYU SHARK